謀略に憧れ、亡くなる前のぽんたがかなり会得したことで、ますますはやる気持ちが抑えきれんかった前やん。
その意思の強さと彼のセンスを見込んで、その謀略会得プログラムを考えてみた。
ぽんたの謀略開発がプロトタイプになるんじゃけど、そのエッセンスもそうじゃが、ぽんたとはまるっきり同じにはならん。
ぽんたには口頭で説明した一族のあらましについて、それなりにまとめてメールしたった。
かなりの分量になったものの、前やんはそれを元に系図を作って持ってきた。
明治時代からのもんじゃけえ、かなりのもん。
ほんま根気の要る作業をようやった、クソ真面目じゃのう。
とりあえず歴史に残っとる人物とだいたい特定できとるけえ、それを踏まえて説明。
私が置かれた立場とその経験を話すと、これまで意欲的じゃった前やんがさすがにビビりまくり倒してきた。
私の立場で出たとして、防ぐ方法がみつからんのよ。
それを謀略で乗り越えてきた私なんじゃけど、そのことを知ることによって、そうそう生易しいもんでもないことがわかってきた。
ぽんた同様私と同じ土俵には立ったし、私が打つ謀略の策を説明すると理解はできる。
しかし、同じ状況で1からそれを立案できるかいうとできんのよ。
できるイコール私のレベルいうことなんじゃけど、ぽんたもとてもじゃないが同じことはできんて言うた。
いやいや、私としては彼らが大関や関脇であっても全然構わんし、むしろそう願いたいぐらい。
しかし、私個人がどう思うても実力は本人たちが一番ようわかっとる。
それでこういうつらい過去の話は、なるべく触れたくはないいう人が多い。
弟もそうじゃし、似た環境のセシウムカルトn崎なんかも、過去の話をしようとすると遮りよるんよ。
それは、心の傷が癒えとらんけえなんよ。
私は自分のことなら、笑いながら話せるんよ。
なぜなら、心の整合性がつけられてとるんで、ダメージすらない。
さらに、それをハネ返して悪いやつをシゴウまでしとる。
まあさすがに、私みたいなのばっかおったらそれもそれで大変じゃけえ、これでええんかもしれんのよ。
さて、こうした教えられたり鍛えたりしてできる能力ではないもんは、そうそうアップはしない。
しかし、それでも歩みを進めたいとするのなら、難局にブチ当たった時の私の動きや考え方を追跡して、自分の場合ならどうするかをシミュレーションして解決手段を何度も再想定してみるんよ。
幼児虐待で二親から殴られまくったとしてどうか、父や祖母が悪人とかいう叔父が現れた時どうか、アニメがやっとったとして何を選びどう学ぶか、落ちこぼれとイジメまで加ったとしてどうか、一族全員敵になったとしてどうかなどなど。
どれもこれも盛りだくさんの迷惑な話、いかに切り抜けて反撃し、被害を受けた善人を助けられるかがカギとなる。
それらを、じっくり腰を据えて考えるんよ。
この謀略こそ、せっかちではなかなか深められんのよ。
それが理解できた時、もう一皮むけるじゃろう。
六崎家の環境や私の立場は手に余る強敵、常人では容易に対処できん。
それだけ闇が深過ぎたいうことなんじゃけど、その闇を食ろうてパワーに変えたことは、ベストかどうかは別にして正解を出し続けたと言えるんよ。
謀略の大きさが違い過ぎても、そのイロハを持っとるのとそうでないのは大きな違いじゃ。
たとえその謀略つたなくとも、定石を守り進んでいくうちに、やがて見晴らしのええ高みに出る。
謀略を極めることが必ずしも幸せとは思えない気もするんじゃけど、深めたいならそういうこっちゃ。