姫路に移転して取り組み始めた農業、それは試行錯誤のくり返しじゃった。
身近にあるもんを資源化し、それを組み合わせることでバリエーションを増やした。
草木を灰にして肥料とし、そこからできるもんで食糧の自給を目指した。
少ないうちはよかったんじゃけど、大量に作付けするようになると、作業行程は同じでもさばくのにそれなりのテクが必要になってきた。
また海辺や河川敷なんかでたき火をすることも、少ない量をたまにやる分にはそれほどでもなかったんじゃけど、頻繁に大量にとなると警察や消防にチェックされ怒られるようになった。
畑も原野を転々としたりしとったんじゃけど、ようやく今年正式なとこを借りた。
こういうことも、やはり正式な場所での産物があってこそ市場に出せるいうもんなんよ。
そういうことで、焼場にせよ畑にせよ自前のもんを持つことが必要性を増してきた。
やはり大量に作って売るとなると、それは大事なんよ。
ただ、これまでは実験の意味でいろいろ試す必要もあって、その段階ではお金を投入してどうのこうのいうのはシビアな問題じゃった。
ちょうど今、岐路に立たされとるんよね。
姫路に移転した時は銀座マンションの債務超過であり、借家住まいでゆとりもなかった。
しかし、幻の東京オリンピックでマンションが高騰して持ち家となり、ある程度の貯金もある。
湯水の如く使えるわけではないんじゃけど、見通しのついてきたことに関しては、投資してもええように思える。
カイアポの商売が動き始めてきとる今、相応の環境整備は必要じゃろうね。
安心して仕事ができる場所を整備して、カイアポをガッツリ作って販路を広げる。
借り物から自前のもんへの脱皮、それで今後のことがあると思います。