2足のわらじを履いてとか言う問題なんじゃけど、これをさらに進めると多足のわらじになる。
大学時代に2足のわらじとして、地獄バイトを克服して経験値を大きくアップさせた。
もともと100のものを2つに分けて50ずつとして、それらをそれぞれ90ぐらいにすると、足せば180ぐらいになる。
そうすると、80ぐらいが増幅分となる。
大学時代の成果はそんな感じじゃったが、この増幅に寄与したのが下げ止まりの力と能力者の動きコピーなんよ。
大学時代の地獄バイトは、先輩の強制で始めたもの。
そこを克服することができたのは、その地獄バイトの環境でバリバリ仕事をする従業員の動きを口ぐせから何から真似してコピーしたことが大きかった。
北斗の拳にある技で、水影心(すいえいしん)いうもんをイメージして応用した。
バイト先のIさん、技を借ります。
それで、Iさんになりきって動いてみた。
言葉もどっぷり金沢弁に変わり果て、ネイティブとほとんど変わらんようになり、地元出身者と親しくなった。
ただやはり技としては猿真似に近く、丸々100%やるのは無理じゃった。
なんで全部できんのかって悩むことになったんじゃけど、あ、そうか本人じゃないけえ、まんまにななれんと思い直した。
我ながら、8割ぐらい技と動きを盗みとったんじゃなかろうかって思える。
結局、それで充分じゃった。
おおおIさんモード8割吸収、それで周囲を見渡すとこれまでと視点が全く変わった。
さらに無理して9割会得してもそんなに変わらんけえ、腹八分で満足した。
そして、二年生の夏休みからは長期実家に帰省することにして、そこでキツいバイトを探してやることにした。
一年生の夏休みはまだダメージが抜けきっておらず、ビル清掃のバイトをやっており、その稼ぎが捗々しくなかったのと、二年生になってからはだいぶ体力が回復したこともあって、余裕ができていた。
その後は、長期休暇は地元でバイトすることが定着した。
ちょうどバブルの頃で、工場勤めで高い時給がいくらでもあった。
そうした所におる能力者をまた、水影心で食べ始めた。
そうするとIさんとオーバーラップする部分がそれなりにあって、吸収はそんなに時間がかからんかった。
それで何人か名前さえ知らん人からの技をも盗み取り、やっていった時にかなり動きの幅が大きくなっとることに気づいた。
やがてそれが自分の技として消化されていったわけなんじゃけど、ともあれ大変な職場を切り回す能力を持つ人には、それぞれそこに見合うたコツなり技なりが存在する。
その理屈はともかく、それがなければ通用せんのなら、それを獲得する。
そのうち、100が180に増幅した以上の増幅を見せるようになっていった。
おそらく水影心で食らった人たち単独よりは、上回ったんではなかろうかって思える。
若い頃のカルト教団Kの教祖すら、その水影心で食らおうとした。
あの教祖がかつて言うとった知的巨人を目指すことで、また修行のステージは変わった。
堕落した教祖はさておき、あのクズ教祖が苦し紛れに言うとったことを真に受けてよかった。
今やるべきことは、培ったものをなるべく遺して次につなげることなんよ。