学生時代から社会人になってしばらくまで、ビデオテープの時代が長かった。
その時期に、なるべく低価格で高画質で録画すべく工夫しまくった。
スコッチEGは、スタンダードながら磁性体充填密度BET値が35あって、しかもバックコーティング。
バックコーティングは、帯電防止用のカーボンを磁性体から抜いて、それをテープ裏側に貼り付けたもんなんよ。
カーボンがなくなった分、磁性体をそれだけ多く充填できる。
残留磁束密度エルステッドこそ及ばないものの、それ以外は他メーカーのハイグレードに匹敵するもんじゃった。
つまり、スタンダード価格でハイグレードクオリティに近かった。
それで、録画方式もSーVHSが登場したことで、そのモードで録画することを始めた。
地上波の水平解像度が330本であり、通常のVHSでは200しかなく、ベータでは270。
ビデオ録画すると多少ぼやけるんじゃけど、それはその水平解像度が下がることによることなんよ。
ベータの方が劣化が少ないものの、ベータには長時間モードがない。
それでベータは淘汰されていった。
SーVHSでは水平解像度が400本あって、地上波をのそれをカバーできる。
ビデオテープの箱の裏側に検知孔があり、そこに穴を開けることでSーVHSモードになった。
それでスタンダードテープスコッチEGの標準モードで試してみると、S/N比が下がって多少ザラつくものの、水平解像度400本のカッチリした画像になった。
おおお、これはすごいぞって思うた。
SーVHSの専用テープの3倍モードよりも、スコッチEGの標準モードの方がきれいなんよ。
専用テープ一本買うよりも、スコッチEG3本買う方が安く、それならわざわざ専用テープ買う必要もない。
それで結局、しばらくスコッチEGの標準モードでライブラリーをしていった。
さらに、スコッチEGではSーVHSモードでの3倍モードで実験してみた。
さすがにそれは、欲張りが過ぎた。
たしかに水平解像度は400本になるものの、S/N比が下がり過ぎて反転ノイズが出るんよ。
それがこんな感じになる。
輪郭の縦の部分から右方向にこういうノイズが出て、それがチラチラ不規則に動く。
結局、テープの性能が水平解像度対応に追いつかず、バグとしてデカいノイズ映像になってしまいよる。
これでは、いくら水平解像度が上がってもライブラリーとして残すには不向きであり、さすがに使えんかった。
ともあれ、通常のVHSモードでの再生はできなくなるものの、貸し借りするわけでもないけえ、SーVHSモード録画は欠かせないもんになった。
条件が悪い中で、最善のパフォーマンスを目指す意味では、かなりええ材料じゃったと思うんよね。
それでアニメとかも当時はコンピューターグラフィックスはなく、手描きで相当高いクオリティの時期であり、それを素材として活用してイメージトレーニングをやりつつ気功の修行に活かした。
そうした意味でもSーVHSモードの裏技は、そのイメージトレーニング自体を大きくバックアップしてくれるもんになった。