VHSのテープの標準モードでSーVHSモード録画をすることで、コスパ最強で高画質のライブラリー化ができていった学生時代。
当時はビデオサロンいう雑誌があり、その雑誌の内容で同級生のMさんと語らうことがあった。
三浪しとったこともあって、歳上の落ち着いた雰囲気があった。
彼にSーVHSの裏技を紹介したところ、目を丸くしとった。
あとメーカーの話になり、テープでどれを使うかのことで議論。
私はスコッチEGを推したものの、MさんはフジAXIAのDCはどうかと勧めてきた。
フジAXIAのDCは、ダブルコーティングのテープであり、磁性体が2つに分かれとる。
音声用と映像用の記録場所が異なるんじゃけど、それに基づいてそれにそれぞれ合うた磁性体を組み合わせとるんよ。
それで、スタンダードのDCで試してみた。
すると、意外な結果になった。
なんと、標準SーVHSモードではスコッチEGよりも、画面がなめらかなんよ。
それで、SーVHSモードの3倍モードでの反転ノイズを比較すると、標準モード同士での差がさらにハッキリわかった。
スコッチEGよりも、少なかったんよね。
専用テープじゃないけえ、出るのは仕方ないんじゃけど、明らかに少ない。
バックコーティングなしでこのクオリティか、これならBET値とかの指標とかに縛られる必要がない。
これに衝撃を受けた私は、連日そのテープのパッケージにある概念図とにらめっこすることになった。
当時、地獄バイトと大学の勉強の両立でくじけそうになっとったこともあり、その対応が緊急課題じゃった。
むむむ、ダブルコーティングの磁性体の特性、これを何とかこの問題解決に活かせんのじゃろうか。
いや、活かせることはできるじゃろう。
バイト先で要求される能力と、大学で要求される能力は別なんよ。
大学で要求される能力でバイトに対応しようとしとるけえ、ダメなんよ。
フジAXIAのDCは磁性体を2つに分けられながら、それぞれがそれぞれに見事に対応しとる。
ふむふむこれじゃ、この考え方でいくしかない。
ということで、大学に振り向けた力のうちの半分を大学に残り半分をバイト先に分けることにした。
それぞれに半減された力で対応したことで、余裕はなくなりクオリティは一時的に落ちた。
しかし、法則性を掴んだり無意識でできる仕事の比率を増やしていくと、バイト先に対する労力がそれほど大してキツくなくなってきた。
そのことで、勉強の方もそれなりに何とかなるようになってきた。
最初投入した労力が半々とすると、バイトの方は5から4とか3に減らしていけてその分を勉強に上乗せしていけた。
このダブルコーティングの概念図のおかげで、能力と取り組む内容の違いを分けることができるようになり、二足のわらじからさらにもっと増やしていくのに役立った。
かつての大学時代の地獄、それを跳ね返してやっていけた経験は、実家のダメージを跳ね返して余りあるものになった。
VHS残照、かつてのビデオ録画方式が開いてくれたものは、今でも確実に私の血肉になって残っとる。
ありがたいことじゃのう。