DNA型鑑定で血縁がないことが証明された場合でも法律上の父子関係を認めるかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は昨日、父子関係を認める判決を言い渡した。
鑑定で血縁が否定され、子が血縁のある男性によって養育されていても、「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」とした民法の規定(嫡出推定)は覆せないとの初判断を示した。
裁判官5人中3人の多数意見。
白木裁判長と金築誠志裁判官は、子が血縁のある男性に養育されている点などを考慮し、法律上の父との親子関係を認めるべきではないと反対意見を述べた。
桜井龍子裁判官は補足意見で、子が成長して出自を知りたいと思ったり、血縁上の父との法的関係を望んだりしても、実現させる方法がないのは疑問だと指摘。
「親子関係をめぐる従来の規定が実情に沿わない場合は、子の福祉や養子制度との調整などを踏まえ、立法の問題として検討されるべきだ」との考えを示した。
山浦善樹裁判官は「DNA型鑑定によって法律上の父子関係が突然否定されるような判断を示せば、親子関係の安定を破壊することになる」と述べ、鑑定を無制限に実施すべきではないとの補足意見を付けた。
判決が言い渡されたのは、北海道、関西、四国で起こされた計3件の訴訟。
北海道と関西の訴訟では、いずれも婚姻中に妻が夫とは別の男性と交際し、2009年に出産。
DNA型鑑定の結果、交際相手が子の父である確率は99・99%で、母側は夫らとの父子関係がないことの確認を求めていた。
四国の訴訟では子5人の法律上の父である男性が、DNA型鑑定でうち2人との血縁がないことが判明したとして、父子関係の否定を求めた。
第1小法廷は北海道、関西両訴訟について、父子関係を認めなかった一、二審判決を取り消して母側の訴えを却下。
一、二審で父子関係を認めた四国訴訟に関しては、父側の上告を棄却した。
こういうことは個別に事情が違うんで、杓子定規で判断すべきではないと思う。