安倍晋三首相は政権発足から1年となる昨日午前、靖国神社に参拝。
首相の靖国参拝は平成18年8月の小泉純一郎首相以来、7年4ヶ月ぶり。
首相は第1次政権時代に参拝しなかったことについて、かねて「痛恨の極み」と表明しており、再登板後は国際情勢などを慎重に見極めながら参拝のタイミングを探っていた。
「英霊に尊崇の念を表するのは当たり前のことだ」と主張し続けた首相が、参拝に反発する内外の圧力をはねのけ、参拝を実行した意義は大きい。
しかし現職首相として靖国神社参拝に踏み切ったことで、中韓両国との関係停滞の長期化は必至な情勢だ。
両国は外交ルートを通じて日本政府に抗議。
日中、日韓関係の改善を望んでいた米国も「失望」を表明した。
首相は米中韓各国に参拝の意図を説明する考えを示したが、理解が得られる見通しは立っていない。
首相は26日午後、自民党のインターネット番組で、中韓両国の反発について「戦犯を崇拝するために参拝しているという誤解に基づいた批判がある」と指摘した上で、「中国、韓国の人の気持ちを傷つけるつもりは毛頭ない」と重ねて強調した。
米国に対しても「近年、誤解が増幅されてきた。この機に、しっかり説明していくことで誤解を解いていきたい」との姿勢を示した。
菅官房長官は同日午後の記者会見で、「首相は私人の立場で参拝した」と説明。
菅長官は「関係国には(事前に)しかるべき説明はしている」と述べたものの、具体的な国名は明示しなかった。
中国の程永華駐日大使は昨日午後、斎木昭隆事務次官と会談して抗議。
程大使は会談後、記者団に「極めて大きな憤慨を覚える。靖国神社は対外侵略を精神的に支えた場所でA級戦犯が祭られている。国際社会への挑戦で、中国、韓国の感情を傷つけた」と非難した。
さらに「今日の(首相の)行動は新たに大きな障害をもたらした。日本側で責任を負わなければいけない」と強調。日中首脳会談の実現は当分困難との認識も示した。
韓国の李駐日大使も昨日夜斎木次官と会い、首相の参拝に抗議。
米大使館は「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに米国政府は失望している」と、首相の参拝を批判する声明。
靖国参拝に絡む米側の批判声明は異例。
首相の独走どこまで?