自然界が生き物に対する淘汰しよういう力は強い。
気候変化以外に、天敵や食糧確保、病気の問題がある。
動物にせよ植物にせよ、人間に飼われることで、こういう淘汰しよういう力から守ってもらえる。
人間が動植物を管理するには目的があり、食用とするか鑑賞するか愛玩するかなんよ。
食用にするには肥え太らせ、鑑賞するには色や形を変え、愛玩するにはやはり変形させるんよ。
小豆の原種ヤブツルアズキに比べると、普通の小豆はメタボチックに肥え太っており、大豆の原種蔓豆も同じく肥え太っとる。
果物も、種を減らして果肉部分を太らせとる。
豚なんかも肉をとるため、肋骨が増えとる。
牛は乳を、鶏は卵が多くしてあり、食べるための効率化が為されとる。
天敵からは、餌食にするには都合がええ。
鑑賞用のもんは、人間が好むような色や形で目立つようになっており、自然界では天敵に見つかりやすく捕食リスクが高い。
愛玩用のはやはり変形させられ、小型であったり、ダックスフンドのように体型バランスが悪かったりする。
ダックスフンドのような短足犬も、自然界では捕食リスクが高く、餌を追うのに不利なんよ。
体型バランスでいうなら奇形であり、生存条件は厳しい。
鑑賞用や愛玩用のもんは、その目的ゆえに殺されて食われるリスクは低かろうが、自然界では生き残れんように改造されてしもうた。
びっこにされて閉じこめられとる。
食用のもんも、肉として食われるもんはかわいそうじゃのう。
作物に関していうなら、長い年月をかけて食べやすくした先人の努力には頭が下がる。
ともあれ、小さな突然変異を積み重ねて変化させた形質は、自然界では淘汰しよういう力に抵抗力の高いもんが残り、人為選択では人間の好むもんが生き残る。
人間それ自体も人間世界に飼われており、自然界の淘汰しよういう力には弱い。
何もない状態なら、外見のええ人が好まれ、そういう形質が子孫を残しやすいんじゃろうけど、それ以外の要素が働くことも多くて複雑なんよ。
人間の構築した世界は、そのエリア内では温室のような穏やかさがあり、その中でしか生きられんもんが多くなる。
人間それ自体も、人為選択の中にある。