ベータ星では見えんかった、ラファエル系の本性がバレてきて、その邪さから地球の霊界で地獄を作り始めた。
色欲地獄中心に形成され、彼ら、いや彼女らの芸術性から、いろんな形態の色欲地獄がバリエーション豊かに形成された。
そこから抜け出せんようになったやつが、さらに地上のラファエル系に憑依して誘い込み、転生するラファエル系が減っていった。
それはそれで喜ばしいことなんじゃけど、もともと男性民族じゃったベータ人は、さらに女性が少なくなった。
男女の比率の偏りから、多少なりとも調整できんかいうことで、種族間で女性を捻出できんか話し合いになった。
そこで真っ先に槍玉にあげられたのが、私らサリエル系。
サリエル系は医療系で中性種族であり、いや中性というよりは、救命のために必要に応じて男女どちらにもなり得た。
病院でも女の看護婦さんと、男の看護師さんとおる。
死にそうな人がおったとして、オッサンが看護師さんに頑張りんさいって言われるより、それなりにきれいな看護婦さんから頑張ってねって言われた方が救命率は上がるじゃろう。
逆もしかり。
ただ、さすがに私は男性としてこの人生長いけえ、今から女性になれ言われてもちょっと難しい部分があるんじゃけど、女に生まれれば、それなりになるんじゃないかとは思える。
そういうことで、サリエル系が性別面での融通が効くいうことで、その時期私も一時女性になったことがある。
その時、当然伴侶になった男性がおるんじゃけど、それがラグエル系の祖母じゃった。
これから生まれ変わるとして、私はやはり女性では出んじゃろう。
私の個性としては、男性の方が都合がええわ。
しかし、どうしても女性で出ろって言われたら、よ~っぽど伴侶を決めてからでないとイヤじゃのう。
しかし、祖母が旦那であれば、人生に希望が持てる。
そこで、そういう組み合わせで何度か出たことがある。
祖母は、考え方が進歩的で、味方をガードする力が強く、リーダーシップもあり、男性度は私よりも高い。
足は丸太のようにたくましく、でかい巨木が動くような感じて、何より貫禄があった。
仲間内でも同じような感じでオルゴンMがおるんじゃけど、祖母と比べるとやはり小型に見える。
ともあれ親族では、誇れる人じゃと思う。
ある意味鬼であり、将軍じゃった。
あれで悪人じゃったら、ものすごい大悪党になり、被害はとんでもないことになるじゃろう。
その祖母は、孫の中ではなぜか私だけをベタ可愛がりした。
そんで、時々変なこと言うた。
どこの女の子かと思いましたわ、とか。
可愛いくて可愛いくて仕方がなかったらしい。
親族は、ばあちゃんはおめえごどかわくてかわくて仕方なくて、どごさ行ぐにも連れてったっぺよとか言う。
たしかにいろいろ連れ回された関係で、遠い親戚に顔が広かった。
しかしそのことが、後々実家で虐待を受けとった私をさらなる窮地に追い込むことになる。
私が虐待のことを言うと、父の嘘を信じた親族が、ほぼ全員敵に回ってもうた。
祖母は可愛いくてやっていたことが、結果的に父のことでアダになった。
まあ可愛いと思うことは、遠い昔の嫁じゃったことを考えれば、無理からぬことかもしれんよね。
しかし、やがて祖母と私は逆転することになる。
私が旦那で祖母が嫁になった。
それは私らの集団を守るに際して、その方が都合がよかったんよ。
男性度では私が85パーセント、祖母は95ぐらいじゃろう。
そこを曲げて私が旦那になったのは、戦略面での技量が数段上じゃったけえなんよ。
祖母の思惑とは裏腹に、周り全部が敵になる過酷な環境。
あれを祖母に切り抜けることができたか言うたら、正直無理じゃろう。
時間はかかったものの、私は被害を最小限にしつつ、平定してしもうた。
私は謀略家でもあり、その攻撃性を悪人に向けてまくる時がある。
相手はシャレにならんぐらいの被害を受けることになるんじゃけど、それは祖母には無理。
前回の戦国時代も、祖母は女性じゃった。
私が国人領主じゃった時、その国人の間をとりまとめるため、近隣の国人を訪ねて祖母に会うて惚れて、兄の嫁になってほしいと頼んだ。
この盟約により、義理の姉となった祖母は、武将が輿入れしたに等しいとまで言われた。
家の危機を守るための盟約。
今回も祖母は、親族を守るために、その力量を発揮しまくった。
あれはあれですごいんじゃけど、複雑な陰謀が絡んだことは、祖母では無理。
祖母と私が逆転し、その後も祖母が女性として出とったのは、私への遠慮であり、グループを守るためにあえて補佐役に徹したんよ。
後から来た他の民族で、人間関係は複雑になったんじゃけど、ゼウス系の子分どもを従えて統率する祖母は、やはり男性の仕事をしとるね。