知り合いのたけした君が、ここのとこ経営上のことで苦しんでおります。
技術は向上し、販路は拡大したものの、借金は減らない。
人を雇うにも雇えない。
それは、彼の手がけるイチゴの収穫時期の問題がある。
収穫は冬から春。
その時期しか収入がない。
パートさん雇うにも、そうした変則的な状況では厳しい。
パートさん雇わにゃ経営を拡大できず、借金も減らない。
さらに借金して、夏でもイチゴがとれるようなドーム型のピニールハウスを導入するらしい。
その額一億五千万。
あまりの額に、プレッシャーもハンパない。
う~む、どうしたもんかねぇ。
そもそもなんじゃけど、私ならイチゴ農家いう選択はしない。
うん、しないな。
競争も激しいじゃろうし、その中で生き残りをはかるのは大変じゃ。
私なら、独創性を発揮したことをやります。
つうことで、カイアポ農業を水面下で進めております。
たけした君も、気の毒なとこがあるんよね。
親の稼業を継がにゃいけんかったけえのう。
踏襲した技術は古くなっていきよる。
現に、味の問題で何度かSOSをもらい、肥培管理のことでアドバイスして危機を乗り切ったこともある。
ここ最近は、ミネラルの補強のことでセイタカアワダチソウの灰を導入させ、品質向上に結びつけた。
旧態依然のやり方では数年前に破綻しとったし、それだけ苦労も多い。
やはり他者が作ったシステムを受け継ぎ、それを維持することは大変なんよ。
私の目指す農業経営は、商品価値の高いもんを量産して、その規模を緩やかに拡大させること。
カイアポの量産にはメドがついた。
労力はイチゴのデリケートさを考慮したもんに比べて、はるかに少ない。
これで、会社勤めを上回る収益が上がれば、会社勤めを縮小。
辞めてもええんじゃけど、あえて辞めずに準社員かパートになる。
やっていくにあたり、借金はなし。
それに貸してくれるとこがない。
借金も、住宅ローンとかは通るんじゃけど、企業融資は無理。
貸す方も、サラリーマンやっとるようなやつは本気じゃないなと見るらしい。
しかし、たけした君みたいに後がない人なら、こいつ本気じゃろういうことで貸すらしい。
なんか、見とって危ういような感じがせんでもないんじゃけど、そういう感じでたけした君は生きてきた。
今回は額がデカいけえ、参ってしもうた。
こちらのカイアポ農業が軌道に乗ったら、それを導入させてちょっとは楽にしてやりたいのう。
たけした君はオルゴン系じゃけえ、これといった独創性はない。
しかし、ベータ人の私にはある。
彼には、私みたいなカイアポ農業を編み出すようなマネはできんのよ。
私はカイアポを皮切りに、いくつか商品価値の高いもんを手がける準備があり、次の何かを編み出せるじゃろう。
私の場合は借金もないし、そのプレッシャーもない。
一度作り上げたもんは、維持するのもたやすい。
そういう感じのもんを、順次無理のない規模で拡大する。
やはり、既存のもんには既存のもんなりの大変さがある。
しかし、新規のもんを作れれば、真似されるまでは独壇場。
また、私の真似ができる者など存在しない。
仲間内だけに技を教えて、それを拡大する。
いずれ本社ビルも持ちたいのう。
ともあれ、上手い手を考え続けましょうかね。